東北大学、シリコン量子ドット太陽電池において世界最高変換効率12.6%を達成

 東北大学は、同大学流体科学研究所および原子分子材料科学高等研究機構の寒川教授グループは、新しい鉄微粒子含有蛋白質(リステリアフェリティン)を用いた自己組織化による金属微粒子テンプレート技術と超低損傷微細加工技術として独自に開発した高効率低エネルギー中性粒子ビーム加工技術とを融合することでシリコン(Si)基板上に面密度が1012cm-2以上で均一で等間隔でしかも損傷のない6.4nm量子ナノ円盤アレイ構造の作製に成功し、シリコンカーバイド(SiC)薄膜とのサンドイッチ構造を用いた太陽電池作製プロセス技術を確立したと発表した。

 同構造において、シリコン量子円盤構造間に形成される新たなバンド(ミニバンド)により、従来の薄膜に比べて光吸収効率が大きく向上し、且つ、発生したキャリア(電子、ホール)の輸送特性も大幅に向上することを初めて実証した。
 この単層シリコン量子ナノ円盤アレイ構造とSiC薄膜とのサンドイッチ構造を用いて太陽電池を試作した結果、エネルギー変換効率12.6%というシリコン量子ドット太陽電池として世界最高値を達成している。

 この結果は、シリコン量子ナノ円盤アレイ構造とSiC薄膜とのサンドイッチ構造を5層程度積層した吸収層をタンデム化することで理論的なエネルギー変換効率が40%以上の超高効率シリコン量子ドット太陽電池が実現できる可能性を示しており、シリコンだけを用いた超高効率量子ドット太陽電池の実現に向けた画期的な成果となっている。

シャープ、大阪ガス、三菱商事、カナダ・オンタリオ州における太陽光発電事業へ共同参画

 シャープは、大阪ガス株式会社(以下「大阪ガス」)、三菱商事株式会社(以下「三菱商事」)及び同社の3社が、シャープの100%子会社であるリカレント社がカナダ・オンタリオ州にて開発を進めてきた大規模な太陽光発電事業(全9ヶ所/合計約10万kW)を買い取り、今後3社で同事業を共同推進していくことについて合意したと発表した。

 大阪ガス三菱商事、シャープは、カナダに共同で設立する会社を通じて、大阪ガス44.95%、三菱商事44.95%、シャープ10.1%の割合で同事業に出資する。商業運転は今年末から2013年末にかけて順次開始する予定。

 カナダ・オンタリオ州政府は、2009年にクリーンエネルギー計画を策定し、環境負荷の大きい石炭火力発電から、風力、太陽光、バイオ・エネルギーといった、よりクリーンなエネルギー源を活用した発電への転換に取り組んでおり、同計画に基づいて同州が導入しているクリーンエネルギー固定価格買い取り制度に則り、同プロジェクトは発電電力をオンタリオ州電力公社に、1キロワット時当たり0.443カナダドル(約35円)で20年間にわたって売電するとのこと。