東北大学、シリコン量子ドット太陽電池において世界最高変換効率12.6%を達成

 東北大学は、同大学流体科学研究所および原子分子材料科学高等研究機構の寒川教授グループは、新しい鉄微粒子含有蛋白質(リステリアフェリティン)を用いた自己組織化による金属微粒子テンプレート技術と超低損傷微細加工技術として独自に開発した高効率低エネルギー中性粒子ビーム加工技術とを融合することでシリコン(Si)基板上に面密度が1012cm-2以上で均一で等間隔でしかも損傷のない6.4nm量子ナノ円盤アレイ構造の作製に成功し、シリコンカーバイド(SiC)薄膜とのサンドイッチ構造を用いた太陽電池作製プロセス技術を確立したと発表した。

 同構造において、シリコン量子円盤構造間に形成される新たなバンド(ミニバンド)により、従来の薄膜に比べて光吸収効率が大きく向上し、且つ、発生したキャリア(電子、ホール)の輸送特性も大幅に向上することを初めて実証した。
 この単層シリコン量子ナノ円盤アレイ構造とSiC薄膜とのサンドイッチ構造を用いて太陽電池を試作した結果、エネルギー変換効率12.6%というシリコン量子ドット太陽電池として世界最高値を達成している。

 この結果は、シリコン量子ナノ円盤アレイ構造とSiC薄膜とのサンドイッチ構造を5層程度積層した吸収層をタンデム化することで理論的なエネルギー変換効率が40%以上の超高効率シリコン量子ドット太陽電池が実現できる可能性を示しており、シリコンだけを用いた超高効率量子ドット太陽電池の実現に向けた画期的な成果となっている。