JFEエンジニアリング、タワー集光型太陽光発電システムで世界最高レベルの発電効率を実現

 JFEエンジニアリング株式会社は、同社が三鷹光器株式会社、財団法人エネルギー総合工学研究所と協力して進めてきた、環境省「平成22年度地球温暖化対策技術開発等事業」の「集光型太陽光発電に関する技術開発」に関する委託事業において開発したタワーCPVが世界最高レベルの発電効率を実現したと発表。

 今回開発されたタワーCPVは、ヘリオスタット(太陽追尾式ミラー)を用いて、太陽光を高さ20mのタワー上部に設置したレシーバー(二次集光機能付き多接合型太陽電池セル)に集光し、直接発電するもので、30基のヘリオスタットで行った実証試験では、集光倍率700倍、太陽電池モジュール(太陽電池セルを組み合わせたもの)1基で、最大26%の発電端効率を実現した。
 これは従来型の太陽光発電システムと比較して、発電端効率が2倍以上となっており、セルの単位面積当りでは、約1,400倍の発電量を得ることができる。

 今回の技術開発の要点は次のとおり。

①高倍率集光技術
 ヘリオスタット(一次集光)とレンズ構造のレシーバー(二次集光)の最適配置により、高集光倍率を確立した。

②レシーバーの水冷式冷却技術
 レシーバーに集光すると、太陽電池セルの温度が高温になるため、耐熱温度以下に抑える必要があるが、同社は、製鉄で培った高炉炉体冷却技術を応用して独自の技術を確立した。
 使用した冷却水は、温水として熱回収することができ、また、冷却水は循環使用するため、当設備は水の少ない地域でも設置可能となる。

 今年度同社では、ヘリオスタットや太陽電池モジュールを増強し、1,000倍の集光、および発電量拡大に向けた実証試験を継続し、さらに、2012年度には、数MW規模までスケールアップした実証試験を行い、2013年度中の商用化を目指すとのこと。