NEDO、有機系太陽電池の実証プロジェクトをスタート

 NEDOは、次世代型太陽光発電システムの本命の一つとされる有機太陽電池の早期実用化を目的とした「有機太陽電池実用化先導技術開発」の助成先として7法人(5件)を採択したと発表した。

 同プロジェクトでは、有機太陽電池の特徴のうち、発電特性と設置特性とを活かした建材一体型システム、設置特性とデザイン性とを活かした車載型システム等を開発。2010年代後半の実用化を目指した製品用途開拓を行う。

 有機太陽電池は、将来的に大幅な低コスト化が期待されるとともに、少ない光でも発電し、真夏の暑い日でも発電量が下がりにくいといった発電上のメリット、軽量で加工が容易といった設置上のメリット、透明性やカラフル性といったデザイン上のメリットがあるとされている。

 同事業では、有機太陽電池を使用した太陽光発電システムを設計・試作し、実証システムとしての最適化を図った上で、実使用環境に設置し、発電量や耐久性等を実証・評価する。
 その結果を基に、実用化に向けた開発課題を抽出するとともに、有機太陽電池の市場要件(コスト・発電量・設置条件・耐久性・信頼性・意匠性等)を把握し、用途開拓が行われる。
 研究期間は2012年度〜2014年度であり、総事業費は約45億円(NEDOの助成率は2/3)の予定。

 採択された助成先及び研究内容は以下の通り。

三菱化学株式会社
 有機薄膜太陽電池の生産プロセス技術開発および実証化検討
 【内容】軽量、薄膜、フレキシブル性といった特性を有する有機薄膜太陽電池※2を用いて、建材一体型、車載型といった利用形態を想定した実証試験を行う。

・シャープ株式会社・株式会社フジクラ
 色素増感太陽電池モジュールの実証評価
 【内容】太陽光の入射角依存性や光量依存性が少なく、発電特性に優れたガラス基板型色素増感太陽電池※3を用いて、電力用途を想定した実証試験を行う。

日本写真印刷株式会社
 色素増感太陽電池の市場創出開発
 【内容】カラフル性やシースルー性といった意匠性に優れたガラス基板型色素増感太陽電池を用いて、太陽電池広告やフットライトといった高付加価値製品を想定した実証試験を行う。

日立造船株式会社
 プラスチック基板DSC発電システムの開発
 【内容】軽量・フレキシブルで、シースルー性のあるプラスチック基板型色素増感太陽電池を用いて、農業用ハウスやサンシェードといった利用形態を想定した実証試験を行う。

太陽誘電株式会社・ビフレステック株式会社
 プラスチック色素増感太陽電池の実用性検証
 【内容】軽量・フレキシブルで、可搬性に優れた光ディスク型のプラスチック基板型色素増感太陽電池を用いて、電力用途を想定した実証試験を行う。