TUV、太陽電池モジュールの「機械的偏荷重試験サービス」と「塩水噴霧試験サービス」を開始

 テュフ ラインランド ジャパンは、大阪に新設した関西テクノロジーセンター(KTAC)および横浜の太陽光発電評価センター(SEAC)において、新たに太陽電池モジュールの「機械的偏荷重試験サービス」および「塩水噴霧試験サービス」を開始したと発表した。

 「機械的偏荷重試験サービス」は主に積雪による負荷をシミュレーションするもので、「塩水噴霧試験サービス」は沿岸部などで特に起こりうる塩害腐食について、その安全性や電力損失を検証するもの。

1) 機械的偏荷重試験サービス
機械的偏荷重試験の必要性】
 積雪があった場合、雪は太陽電池モジュールの表面を下方に滑り、下端部に積もる。積雪がある状態では、当然、下端部と上端部で、モジュールに作用する荷重および機械的応力が異なる。これは、住宅用に設置された場合も、商用の発電設備も同様で、こうした負荷の違いによる安全性、耐久性への影響を検証することは重要であり、テュフ ラインランド ジャパンでは、標準的な機械的荷重試験の追加試験として、機械的偏荷重試験を提案している。

機械的偏荷重試験の方法】
 より実態に即した試験方法で、太陽電池モジュールに作用する雪荷重および風荷重のシミュレーションを行い、モジュールへの影響を評価する。
 機械的偏荷重試験を行う前に、実際の環境に近づけるために、まず太陽電池モジュールを1,000時間、高温多湿環境にさらし、その後、モジュールの表面の一部に重りを置いてモジュールのガラスとフレームの両方同時に負荷をかけ、モジュールがどれだけの荷重に耐えられるかを確認する。
 機械的偏荷重試験サービスは、各国の荷重区分に合わせて実施することが可能で、日本国内の区域別平均荷重についてはJIS 8955に記載されており、欧州域内の地域に関してはEN 1991に示されている。

2) 塩水噴霧試験サービス
【塩水噴霧試験の必要性】
 塩水噴霧試験は、太陽電池モジュールの塩害腐食耐性を測定することを目的としている。日本は海水に囲まれた島国のため、住宅用に設置された場合も、商用の発電設備も、高濃度の塩化物イオンが存在する湿潤な環境下では、塩害腐食の影響を受ける可能性がある。
 太陽電池モジュールの種類にかかわらず、こうした環境下では導体部が腐食する可能性があり、導体部が腐食すると抵抗が増加するため、太陽電池モジュールの発火、または太陽電池システムのフレームやラックの構造損傷・変形に至る場合もある。また、電力損失は収益性の低減を招くため、塩水噴霧試験は安全面のみならず、導体腐食を原因とする電力損失についても考慮している。最も厳しい基準の塩水噴霧試験では、試験には通常2ヵ月必要となる。

【塩水噴霧試験の方法】
 塩水噴霧試験はIEC 61701に基づいて行われる。塩水噴霧試験には3台のサンプルが必要で、まず3台について安全性と性能について計測が行われ、そのうち2台について実際の塩水噴霧試験を行う。
 試験の設定レベルはいくつかあり、そのレベルによって試験サイクルの数が決まっており、1回の試験サイクルは次の通り。
 まず15℃から35℃の塩水を噴霧し、その直後に気温40℃、湿度93%の環境下に一定期間さらした後、気温23℃、湿度50%の環境下に一定期間さらす