JR東日本、スマートグリッド技術導入の一環として線路沿線の用地に太陽光発電システムを設置

 JR東日本は、自営発電所等の設備更新や蓄電池駆動電車の試験など、エネルギー分野の新技術導入に取り組んできた一環として、エネルギー利用の一層の効率化を目指し、「スマートグリッド技術」を適用する検討を進めると発表した。

 5月に青梅線での電力貯蔵システムの基礎的な試験に着手するのを皮切りに、列車が停車するときに発生する電力や、太陽光発電等による電力の効果的な利用についての具体的な取り組みに順次着手していく。

 スマートグリッド技術とは、ICT 技術と電力機器技術を組み合わせ、使いきれない電気を貯めたり、別の場所へ送ったりすることで、エネルギーの一層の効率的・効果的な利用を実現する技術。
 今回同社は、最初の取り組みとして、電車が停止するときに発生する回生電力と、鉄道関連用地に多くの導入可能性がある太陽光発電電力を有効利用するためのスマートグリッド技術の適用に取り組む。
 同社ではこれまで、回生電力や太陽光発電の電力を、「貯めて使う」、「遠くで使う」技術についての検討を進めてきており、5 月以降、フィールドでの試験や実用化を順次進めていく。

 具体的には、下記の様な試験や実用化が実施される予定。

1.電力貯蔵装置などを用いた回生電力の有効利用
 列車が停止するときに発生する回生電力を有効に利用する技術として、余った電気を「貯めて」使う電力貯蔵装置と、別の電車が走っている電気回路に余った電気を「送る」電力融通装置について、実設備での取り組みを行う。

 ①回生電力を貯めて使う電力貯蔵装置
 ・ 青梅線古里変電所ではニッケル水素電池を用いた電力貯蔵装置の試験を行う。
 ・ 青梅線拝島変電所ではリチウムイオン電池を用いた電力貯蔵装置を実現する。
 ②回生電力を別の電気回路に送る電力融通装置
 ・ 常磐線牛久き電区分所に電力融通装置(RPC)を実現する。

2.太陽光発電など自然エネルギーの効果的導入
 線路沿線の用地を利用した自然エネルギーの導入には、大きな可能性があり、将来の本格的な導入に向けて、電気を「貯める」、あるいは「遠くに送る」ことで、自然エネルギーを有効に利用する技術についての取り組みを行う。

 ③太陽光発電の余った電力を蓄電池に貯めるシステム
 ・ 太陽光発電と蓄電池を組み合わせ、夜間にも太陽光発電で発電した電力を有効に利用するゼロエミッションステーションを東北本線平泉駅で実現する。
 ④余った太陽光発電電力を遠くの駅へ送る技術
 ・ 沿線の鉄道用地で発電した電力を離れた駅で使用する技術として、電力系統を制御して電力を遠くに送る技術について、鉄道沿線設備を模擬した試験を行う。

3.スマートメーター等による自動的な節電の検証
 同社は、発電から負荷までを一元的に管理する事業体として、必要に応じて電力の使用を制御し、適切に利用する技術が重要であると考えており、まずは、スマートメーター等により自動的に節電をする技術について、新しく今年度から使用を開始する千葉支社ビルで試験を行う。