SCSK、気象情報をもとに太陽光発電と大型蓄電池を制御するEMSを開発、実証実験を開始

 SCSK株式会社は、東京大学宮田名誉教授が代表を務める社会システムデザイン株式会社と共同で、気象予報をもとに太陽光発電および大型蓄電池を効果的に活用するエネルギー管理システム(以下 EMS)を開発し、実用化に向けた実証実験を、東京都多摩市にある同社多摩センターオフィスにおいて、2012年7月から開始すると発表した。

 EMSの開発にあたっては、宮田名誉教授が開発したシミュレーション技術を組み入れ、高品質なソフトウェアを設計する手法をもとにSCSKが開発を行い、実証実験では、このEMSの実用化に向け、導入効果の実証を行う。

 EMSは、株式会社ウェザーニューズが提供する気象予報をもとに、多摩センターオフィスに設置した太陽光パネルの発電量と、多摩センターオフィス内の消費電力量を予測し、予測データをもとに、多摩センターオフィスに設置した蓄電池に充電可能な太陽光発電量と、太陽光発電の不足分を補うために電力会社より受電して蓄電する電力量を算出し、蓄電池の自動充電を行う。
 多摩センターオフィスの電力消費がピークとなる時間帯では、蓄電池を自動的に放電して、電力会社から購入する電力を抑制し、エネルギーの効率的な使用を図る。

 SCSKでは、今回の実証実験を通して、太陽光パネルと大型蓄電池、およびEMSを連動させた一連のシステムを開発し、公共施設やオフィスビル、工場などに向けて2012年度中の販売を目指す。
 また宮田名誉教授とともに取り組んでいる環境未来都市(気仙広域)でのプロジェクトをはじめ、東北地区復興に向けた活動において、本システムの技術を用いた貢献を進めていくとのこと。

 今回実施される実証実験の特長は以下の通り。

(1)翌日の太陽光発電量、消費電力量を予測し、蓄電池の充放電計画を作成
 翌日の気象予報と過去の気象履歴、および過去のオフィス消費電力量を分析し、翌日以降の太陽光発電量と消費電力量を予測
 予測をもとに、大型蓄電池の充放電制御を行う計画を作成

(2)充放電計画をもとに蓄電池を自動制御
 充放電計画をもとに、蓄電池の自動充電を実行
 オフィス消費電力がピークとなる時間帯では、蓄電池を自動放電しピークカットを実現
 蓄電池の制御状態をリアルタイムで監視
 予測と実績の状況に差分がある場合は、30分単位で充放電計画を修正

(3)複数メーカー製のリチウムイオン蓄電池の組み合わせに対応
 将来の蓄電池増設に対応するために、特定メーカーに依存しない柔軟な電池制御機能を実装
 厳密な仕様定義により、電池制御機能の安全性・信頼性を向上