日本郵船、太陽光エネルギー船にハイブリッド給電システム搭載

 日本郵船株式会社、川崎重工業株式会社、株式会社MTI、一般財団法人日本海事協会が、2011年6月に太陽光エネルギーを動力源の一部とする日本郵船が運航する自動車運搬船「アウリガ・リーダー」(60,213トン)に共同で開発中の船舶用ハイブリッド給電システムを三菱重工業株式会社船舶・海洋事業本部横浜工場にて搭載し、実証実験を開始すると発表。

 同船は同時にバラスト水処理装置の搭載や低硫黄燃料の対応工事を行い、環境対応をさらに強化する。

 同船は2008年12月19日に竣工後、約2年間にわたり太陽光パネルの発電状況や耐久性を検証してきており、その結果、太陽光パネルによる発電は、わずかな天候の変化でもすぐにその発電量に大きな影響を与えるため船内への安定的な電力供給が難しく、将来、太陽光発電を大型化し、その依存度を上げた場合には、発電量の変動により安定的な電力供給に問題がある、ということ判明。

 日本郵船とMTIは、二酸化炭素(CO2)排出の削減に向けて、太陽光など変動がある新エネルギーを導入した場合の船内への電力の安定供給に関する技術の確立、川崎重工は同社製大型ニッケル水素電池「ギガセル」を利用した舶用ハイブリッド給電システムの開発を目指し、日本海事協会は「業界要望による共同研究」スキームによる支援の一環として、2009年度からハイブリッド給電システムの研究を行ってきており、これらの成果として同船の太陽光発電による発電量の変動をこのハイブリッド給電システムで充電・放電することにより、本船電力系統への給電量を平滑化させ、ディーゼル発電機の出力変動を必要最小限にすることで発電状態を安定させることが可能となった。

 「アウリガ・リーダー」は、今後過酷な海上環境の中で、太陽光発電とハイブリッド給電システムにより、安定した電力供給を実現するための実証実験を行い、今後の効果の検証を行う。
 その結果を基に、日本郵船とMTIは船舶での太陽光発電の一層の大規模化の開発を、川崎重工は舶用ハイブリッド給電システムの商品化を目指すとのこと。